「なぜお金や手間暇をかけてまで、地球や環境のことを考えなければいけないのだろう」
率直に、そんな疑問を感じたことはないだろうか。
こんな至極全うな問いかけで始まる今回の紹介記事。
もちろん意味があるから世間で昨今これほど話題になっているSDGsですが、なかなか浸透レベルが低いのはビルメン業界でも世間一般と同様です。
まだまだ利益への期待よりもコストへの不安を考えてしまいがちなこの取り組みが、なぜ中小企業の生き残りの条件になるのか。
そこで記事内のグラフを再度見ていただくと、昨今の若い世代にのみ上昇トレンドのグラフが「世間の役に立つ」という項目なのです。
その一方で「自分の能力をためす」という意識の減少は著しく、また「楽しい生活をしたい」「経済的に豊かになる」という意識は増減を繰り返しつつも、それ以前の世代に近いです。
この結果に企業のリーダー層は昨今の若者のチャレンジ精神の低さに忸怩たる思いを抱きそうですが、それが若者のトレンドならとやかく言ってみても始まりません。この辺りは企業風土の醸成に役立ててみても良いのかもしれませんが、それは今回のテーマとは別になります。
いつの時代にもジェネレーションギャップがあるとはいえ、現在のリーダー層たちは若者たちのこの意識変化に敏感である必要がありますね。
すなわち「自分のあり方」よりも「社会のあり方」への関心が高まっているという事実です。
ではなぜ、中小企業ほどこの傾向に大きな影響を受けるのか。
事業規模の小さな会社では、上司どころか経営トップですら毎日顔を合わせる。
会社がどんな仕事をしており、具体的にどうやって儲けを出しているのかを新入社員ですら容易に把握できてしまう。
経営トップが無意味に飲み歩いていれば、それすらも敏感に感じ取るでしょう。
つまり、「こんな経営者や会社を儲けさせるために、私は努力してきたんじゃない」という想いをもたれやすいということです。
給与や待遇でよほどの条件でも提示しない限り、「社会に役立つ」という価値観で仕事を選ぶようになった世代を取り込むことは、中小企業にとって今後ますます困難になっていくでしょう。
だからこそ中小企業の経営者には、ソーシャルグッドと呼ばれるような取り組みに積極的になってほしいと思います。
利益1,000万円ごとに10万円を「地域や社会に貢献できる、自社らしい何か」という形で予算化し、若い世代に使途を決めさせてもおもしろいかも知れません。
「地域の人たちは何に困っているのか」
「どうすれば人に喜んでもらえるのか」
を真剣に考える過程はきっと、若い世代のビジネスマンにとって大きなやりがいと成長をもたらしてくれるはずです。
このような取り組みへの投資は、決して回収の難しいコストではありません。社員のやる気を引き出し、彼らの頑張りが社会のためにも、会社の利益にもつながっていく。これがまさに「会社良し、従業員良し、世間良し」の”三方良し”です。
【参考サイト】SDGsとESGは企業、社員、社会の「三方良し」 棺桶を見て安心した自衛官に学ぶ
「なぜお金や手間暇をかけてまで、地球や環境のことを考えなければいけないのだろう」
率直に、そんな疑問を感じたことはないだろうか。
個人レベルのゴミの分別程度なら、まあわからなくはない。しかし企業がSDGsなどソーシャルグッドと呼ばれるような取り組みを実践することに、本当に意味はあるのだろうか。
実際に内閣府が公表した調査結果によると、比較的体力に恵まれている上場企業ですら、その熱意には差がある。
従業員500人未満の企業規模の場合、SDGsに関して何らかの取り組みを行っている企業は半数にも満たないのが実情だ。
上場企業ですらこの数字なのだから、中小企業では言わずもがなである。