今回は逗子・葉山地域の特有の空き家事情・空き家の管理・処分・活用方法についての解説です。
神奈川県の中でも逗子・葉山地域は空き家率が高め
神奈川県の中でも移住として注目されている地域ですが、意外にも逗子・葉山地域は空き家率が高めの地域で、世代交代等により、空き家が増えつつあります。
[参考サイト]神奈川の空き家率ランキング(スマイティ)
今後も空き家が増える確率が高いので、需要と供給のバランスを考えると空き家の資産価値が下がる確率は高いと思います。
今のうちに残すべきか、それとも処分すべきか、早めに検討すべき時期と考えます。
よく息子や孫のために空き家として所有をしておきたいというご相談がありますが、それは現在の資産価値や税制を前提としての話が多いです。
今後、特定空き家認定で税負担が増える可能性や固定資産税も空き家に対して今より税負担が増える可能性があり、
不動産ではなく、負動産になるリスクの方が高いことも想定をしておいた方がいいでしょう。
空き家は慌てて処分する必要はないが、急いで空き家の方向性は決めた方がいい
空き家は不動産会社に相談するとすぐに売却した方がいいと言われることが多いようですが、「空き家は慌てて処分する必要はないが、急いで空き家の方向性は決めた方がいい」と説明しています。
方向性とは空き家を売却・処分・居住・管理・賃貸・活用等決めることです。
一番よくないのはそのまま放置することです。放置してメリットは一切ありません。特に残置物は早めに整理することをおすすめします。
売却・処分・居住・管理・賃貸・活用、どの場合でも残置物がネックになる場合が多いからです。
空き家として置いておいても残置物も劣化するので大切なものでも結果として処分することになってしまう場合が多いです。
逗子市・葉山町の役所の空き家対策は必ずチェック
空き家を処分・賃貸・維持管理いずれの場合でも、逗子市・葉山町役所の公式サイトの空き家対策は必ずチェックしたほうがいいでしょう。
空き家バンクの紹介や空き家解体助成制度・空き家管理の助成金・補助金や無料空き家相談会・空き家対策アドバイザーの紹介等、最近地方自治体では積極的に空き家相談を受け付けています。
[参考サイト]逗子市役所空き家対策
[参考サイト]葉山町空き家対策
逗子・葉山地域の特有の空き家の問題と将来性
逗子・葉山の場合は高齢化が重なり合って人口減の影響で空き家の増加
逗子・葉山ともに空き家の増加が増えている理由としては、住民の世代交代や高齢化等の問題が大きいと考えます。
逗子・葉山地域ともに坂や階段が多い場所が多く、かつ葉山町は鉄道もないので高齢者には必ずしも住みやすい地域とは言えないと言えます。
また逗子・葉山地域は総合的病院もない(近隣の横須賀市立市民病院や湘南鎌倉総合病院的なもの)ので通院となると近隣の総合病院や横浜や都内の病院まで通院する必要があります。
逗子・葉山地域の在住の方で高齢者の方は免許返納を機会に近隣の駅前のマンションや横浜へ移住する人も少なくはないです。
また息子世代はすでに東京・または東京近郊で居住している場合が多く、実家に戻って都心まで横須賀線通勤をする人はすくないでしょう。
一方で都心から定年を迎えての移住やスローライフに憧れて移住やテレワーク環境の方が移住している人もいらっしゃいます。
ただ人口減をカバーするほどの移住者数はいないと言えます。
逗葉高等学校と逗子高校との統合により、逗子葉山高等学校ができたりと、神奈川県全体でも今後の子育て世帯の人口減を想定して県立高校も統廃合すすめています。
[参考サイト]電通、空き家・遊休不動産再生の分野でエンジョイワークスと業務提携(電通)
上記のように電通等が空き家・遊休不動産の再生の取り組みを始めたりしてますが、立地のいい場所であったり、価値のある古民家だけであり、
一般の建て売り住宅を再生というわけではありません。逗子・葉山地域の不動産は今後二極化の方向になるのではないでしょうか。
具体的には駅近の物件は人気で高騰する反面、駅から離れているや坂の上等少しでも利便性の劣る地域・物件は全く売れないという今より明確になってくると考えられます。
現在の東京が人口集中で不動産が高騰している反面・地方が人口減で空き家問題になっているのが各地域でも顕著になるということです。
逗子市では最近になり土砂崩落・崖崩れが頻発
逗子市では最近になり土砂崩落・崖崩れが頻発しています。特に特定のエリアというわけではなく海側・山側の逗子市で全般で発生しています。
土砂崩落・崖崩れはやはりゲリラ豪雨や台風等の影響が大きいのではないでしょうか。
[参考サイト]逗子斜面崩落半年(上)続発の地元「崖はいずれ崩れる」 (神奈川新聞)
[参考サイト]令和2年2月5日神奈川県逗子市で発生した土砂災害の調査結果(国土技術政策総合研究所)
[参考サイト]崖崩れで観光拠点封鎖(タウンニュース)
[参考サイト]土砂崩落で通行止めの逗子IC、復旧まで3か月かかる見込み すぐ上に住宅 横横道(乗り物ニュース)
葉山ではヤスデ集団発生
葉山では最近、町内一部の地域でヤスデの集団発生が出ています。ヤスデは湿度が高いと発生するので、最近の地球温暖化により、基本湿度上昇が影響している可能性があるかもしれません。
[参考サイト]葉山町がヤスデ対策 2年前から集団発生 町は住民支援(神奈川新聞)
京急バスの本数減・バス路線廃止・運賃値上げ等は考慮しておく
逗子・葉山地域は交通インフラは特に京急バスがメインであり、特に葉山は鉄道がないので京急バスがメインになります。
コロナ禍以降、京急バスは各路線で本数減・バス路線廃止・運賃値上げ等が行われています。コロナ禍での通勤客減の影響ではなく、運転士不足の影響が大きいです。
すでに京急バスは運転士不足であり、自動運転化等が急速に普及しない限り厳しい状態が続くと想定されます。ただ自動運転化にもバスの車両価格を考えるとなかなか導入は厳しいでしょう。
[参考サイト]「このままではヤバイです」2024年問題で運転手が足りない 京急バスが募集広告(ITmediaビジネス)
逗子・葉山地域の空き家の管理の注意点
他の地域とは違う、逗子・葉山の空き家の管理の注意点について解説をします。
逗子・葉山ともに東京に比べて1年を通して温暖な気候というのが特徴でしたが、最近の気候変動により、逆に高温多湿の傾向になりつつあり、必ずしも住みやすい環境ではなくなってきている可能性があります。
今後も気温上昇が増えればますますその傾向が高いと思います。先ほどの葉山のヤスデ問題等、地球温暖化による新たな問題を想定しておいた方がいいでしょう。
この高温多湿の影響は建物にも影響があり、空き家のまま放置をしていると塩害による錆や・湿度によるカビ等のダメージや雑草等の成長が早かったりと通常の建物に比べて劣化するスピードが速くなります。
特に逗子・葉山の海に近いエリアの場合、雨風に塩分が多く含まれており、塩害の影響が大きいです。しておいた方がいいでしょう。
エアコンの室外機や給湯器等の劣化や外壁・手すりや門柱等の錆等、塩害を受けやすいものはあらかじめ対策をしておいた方がいいでしょう。
また東京に比べて台風の直撃を受ける確率が高いので、地球温暖化により以前より回数が増えて、大型化している台風対策も必須になってきています。
逗子・葉山地域の空き家の処分・売却すべきか判断のポイント
条件の悪い物件は早めに売却・処分を検討
逗子・葉山で空き家を処分・売却をするかの判断ですが、判断指標の一つに土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域・急傾斜地崩壊危険区域に該当する崖地・傾斜地の物件です。
特に葉山は地形上・川・海・山に囲まれているため土砂・洪水・津波のハザードマップのいずれかに該当する確率が高いです。
地球温暖化により、ゲリラ豪雨・大型台風等の災害リスクが高くなっているのと、特に他のエリアに比べて土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域が多いです。
こうした物件の場合、もっといい立地条件のある、不動産市場が買い手市場の場合、なかなか買い手が付かないのと、積極的に不動産会社も買取りや仲介をしたがらない可能性があります。
さらに崖地・傾斜地の物件は接道義務を満たしていない再建築不可物件も多い場合があるので、リセールバリュー的にかなり厳しい場合があります。
駅に近い等、好条件以外の物件に関しては早めに売却をした方がいいと考えます。
高級住宅地ならでは空き家問題に直面
逗子には披露山庭園住宅を中心に逗子ハイランド等、高級住宅地がいくつかあります。こうした住宅地も高齢化問題に直面しつつあります。
高級住宅地だから、空き家問題は関係ないと思う方が多いかもしれませんが、逆に買い手が付かず、売るに売れず、空き家になっている場合も多いです。不動産の価格は需要と供給のバランスで成り立ちます。
実際に下記の記事の例で紹介されているようにすでに鎌倉市の西鎌倉エリアは土地区画が大きくて全体の価格が高くなってしまい、都心から離れた高級住宅地に住民がいない状態の事例が出てきています。
[参考サイト]郊外の高級住宅街が沈没…買い手なしの「売るに売れない」悲劇 (幻冬舎ゴールドオンライン)
しかも住宅によっては住民協定により、土地の分割販売が禁止されている可能性があるからです。
さきほど息子世代は新たに都心で住居を構えており、あえて実家に戻る必要はなかったり、都心に住んでいる人は利便性やリセールバリューを考えると逗子・葉山の高級住宅地より武蔵小杉あたりのタワーマンションを購入するのではないでしょうか。
立派な邸宅ほど修繕費用が高くなるのと固定資産税も高いので早めに売却等、方向性を決めた方がいいでしょう。
逗子・葉山地域の空き家の収益化・活用方法
逗子・葉山地域で空き家を処分売却をしないで空き家としてそのまま残した場合の収益化・活用方法についてです。
民泊・シェアハウスとして
逗子・葉山地域は人気のエリアであり、海に近い等、立地がよければ、夏だけ民泊として、営業する方法もあるかもしれません。
また一戸建てでトイレ2個・5LDK以上ならシェアハウスとして貸す方法もありますが、大学キャンパスが複数ある・テレワーク・または都心への通勤を考えても横浜エリアの方がシェアハウスが複数あるので厳しいのが現状でしょう。
ちなみに高級住宅地の場合、住民協定により、シェアハウスや民泊が禁止されてる可能性があるので、まずは住民協定をチェックすることをおすすめします。
またシェアハウスは収益性が高いということで不動産会社が勧めることがありますが、リフォームが必要で初期コストがかかるのと、築古一戸建て等はもちろんシェアハウスを想定しておらず、大人5人以上が同時に住むということは、建物の傷みも早くなるのと修繕費用等も嵩むのであまりおすすめしません。
特にその後、住むことを考えている人は辞めておいた方がいいでしょう。また管理委託費用等もかかるのでトータルの収益性で検討した方がいいでしょう。
逆にデュアルライフ・二拠点生活・多拠点生活拠点として、サブスクリプションタイプの拠点として売り出すほうがいいかもしれません。
[参考サイト]住み放題・泊まり放題の多拠点生活向けサブスクサービス6選
定期借家で貸す
実家・空き家を人に貸すのを躊躇する理由の一つとして、一旦貸すとなかなか立ち退いてくれないのが心配という話を聞きます。
そうした場合は定期借家で貸す方法もあります。契約期間の定めがある定期借家契約は貸主側にとってのメリットが大きいです。
DIY可賃貸(カスタマイズ可の賃貸物件)で貸す
実家・空き家を人に貸すにはある程度物件に手を入れないといけないと、そのための費用の捻出が厳しいという方には最近徐々に増えてきたのがDIY可賃貸です。
一般的な戸建て賃貸物件においては原状回復義務があるケースが多く借主側はカスタマイズができませんがDIY可賃貸は借主側が家の修繕・DIYをしていいということ前提で貸すことです。
DIYスキルがある借主は自分である程度修繕やカスタマイズできるのと貸主側としても貸すための初期投資が減らせるのと、修繕費用の負担がいらないというメリットがあります。
また築古物件でも借り手が付きやすいのもあります。
[参考サイト]改装可能な賃貸物件 検索サイト DIYP
[参考サイト]CHINTAI DIY可の賃貸情報
人に貸すのが抵抗のある人は物置として貸す方法も検討
実家・空き家を人に貸すのに抵抗のある人は物置として貸す方法も検討するのをおすすめします。
最近では物置シェアサービスもあります。ちなみに空き家と倉庫として第三者に貸し付ける場合は、「借地借家法」「都市計画法」「倉庫業法」の法律があるので遵守する必要があります。
[参考サイト]物置シェアサービス「モノオク」
空き家を前提としたリフォーム・リノベーション
災害時の避難拠点や別荘・二拠点生活・定年後の住居として考えている人もいるでしょう。そうした場合は空き家を想定したリフォームをおすすめします。
空き家を人に貸すためのリフォーム・リノベーションではなく、空き家として存続するためのリフォーム・リノベーションになります。
どういうことかといえば、例えば庭に関しては、成長の早い樹木や手間のかかる樹木は伐採・抜根してしまい、雑草が生えないように防草シートや人工芝や玉砂利等に空き家前提で庭をリフォームをしたり、防犯対策として防犯カメラの設置や窓の侵入を防ぐようにセキュリティ強化等のリフォームもあります。
※葉山町の空き家相談・対象地域は一色・上山口・木古庭・下山口・長柄・堀内になります。
※逗子市の空き家相談・対象地域は池子・小坪・桜山・新宿・沼間・久木・山の根になります。