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鎌倉地域の独特の不動産事情と鎌倉の古民家の探し方

コロナ禍の影響もあり鎌倉移住はとても人気です。ただ鎌倉は鎌倉地域の独特の土地の事情や不動産事情があり、他地域の不動産物件を探すより、難易度が高いです。

特に旧鎌倉地域の場合は大規模開発等もなく、建築規制も厳しく、物件の数が限られており、かなり倍率が高くかつ価格高いです。

今回そうした鎌倉地域独特の不動産物件事情と人気の古民家の暮らしについて書いてみました。鎌倉の不動産物件探しの参考にしてもらえると幸いです。

目次

鎌倉へ移住は生活時間(生活工数)を考えることが大事

下記のコラムにも書きましたが、鎌倉に住む場合、「生活コストより生活時間(生活工数)で考える」ことが大事です。

生活時間(生活工数)とは例えばコンビニの距離や買い物に行くにも隣町までいくとか・子どもたちの送り迎え・ゴミを出すにも手間がかかる等の生活にかかる時間です。

東京では気軽にコンビニに行くとか、当たり前のことが鎌倉ではやたらと手間のかかることが多いです。

鎌倉に住む場合、海やのんびりした環境等のイメージが強いですが、買い物の不便さや渋滞等、普通の地域に比べて生活時間(生活工数)がかかると考えます。

時間をお金で買える裕福な方・平日等時間に余裕のある方・時間に余裕のあるリタイアした人にはいいかもしれませんが、特に共働き家庭や仕事が多忙な方や子育て中の時間に余裕のないファミリーは生活時間(生活工数)を必ず計算したほうがいいでしょう。

■鎌倉の生活に関しては下記↓の記事にまとめましたので興味のある方はご参照ください。

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特に厳しい鎌倉の風致地区の建築規制・建築条件を確認しておく

鎌倉市は他の市町村に比べて風致地区の指定の割合が高く、約2,194ha(市全域の約55.5%)の風致地区が指定されています。

風致地区では、地方公共団体の条例によって、建築物の高さ、建ぺい率などが厳しく規制されており、緑豊かでゆとりのある環境が維持されているように規定されています。

さらに鎌倉では鎌倉市全域の約982.2ha(24.8%)が「歴史的風土保存区域」の規則対象であり、そしてそのうちの約573.6ha(鎌倉市全域の約14.5%)が建物の新築が許可されない「歴史的風土特別保存地区」に指定されており、他の地域に比べて建築規制・建築条件が厳しく規定されています。

高さ制限や建ぺい率や容積率もさることながら緑化条件等もあります。

例えば後からウッドデッキを付け足した場合でも建築物と認定される場合があります。

ほぼ鎌倉全域特に旧鎌倉地域の場合、風致地区に該当して何かしらの建築規制があると考えたほうがいいでしょう。

事前に鎌倉市の風致地区に該当するかどうか、建築条件等確認しておくことをおすすめします。

1.建築物の位置、形態、意匠(色彩、材質)などが周辺の風致と調和すること
2.建築物の高さ、建ぺい率、壁面後退距離が、基準に適合していること
3.敷地内に植栽がない場合は、風致の維持に必要な植栽等を行うこと
4.高木、中木、低木、生け垣などにより敷地面積の20%以上の植栽計画とすること

詳細に関しては鎌倉市役所のホームページの鎌倉市風致地区条例を参照してください。

結論を言うと後ほど書くセットバッグを含め、鎌倉の場所によっては他の地域の土地に比べて、小さい建物しか建てられない可能性があるでしょう。

[参考サイト]鎌倉市風致地区条例(鎌倉市役所)

鎌倉市の風致地区に該当するかどうか、建築条件等確認しておくことをおすすめ

鎌倉地域独特の不動産の問題

旧鎌倉地域は借地が多い

他の地域では見られない旧鎌倉地域で不動産の特徴としては借地が多いです。借地が多い理由としては元は神社仏閣が地主さんの土地の場合が多いです。昔からあるお屋敷みたいな家も実は借地という場合もあります。

今でこそ鎌倉の寺院は観光収入が多いですが、今でも観光資産のない寺院やそれ以前の寺院等は檀家収入と自分の敷地を人に貸して不動産収入(土地代)で経営しているお寺も多いです。また大きいお屋敷等も借地として貸している場合もあります。

普通の土地に比べて格安なメリットもある反面、借地・借地権付建物はローンが組めない・住宅ローンの審査のハードルが高いというデメリットがあるので物件を仲介している不動産屋さんに確認をしたほうがいいでしょう。

旧鎌倉地域は借地が多いのが特徴・借地の特徴のメリット・デメリットがあるので不動産屋さんに確認

鎌倉の裏路地の場合はセットバックが必要になる可能性あり

鎌倉は道がどこも狭いので土地を購入して建築する場合、セットバックをする必要がある可能性があります。セットバックの分だけ敷地面積が狭くなるのであからじめセットバックを考慮した建物設計をしないといけなくなります。

また土地を購入する際には不動産屋さんに必ずセットバックが必要かどうか確認したほうがいいでしょう。

また鎌倉市では「狭あい道路拡幅整備事業」を行っており、セットバック部分の土地の買取や後退用地にある門、塀、生垣等の撤去移設費用の保証等をしてくれます。

[参考サイト]セットバックとは(不動産情報サイトアットホーム)

[参考サイト]鎌倉市狭あい道路拡幅整備事業とは(鎌倉市役所)

鎌倉に新築を建てる場合は埋蔵文化財調査が必要な場合

意外と知られていないのは建売ではなく、土地を購入して新築する場合は場所によっては埋蔵文化財調査が必要になる場合があります。

埋蔵文化財包蔵地と呼ばれており、地下に遺跡が残っている可能性のある場所のことで、鎌倉市域の60%以上が該当しているそうです。特に旧鎌倉地域はその可能性が高く、その範囲で建築工事など土地の掘削を伴う土木工事を行う場合は、届出が必要です。

場合によっては発掘調査をしなくてはならず、それだけ着工が遅れる場合があります。必ず土地を購入して新築する場合は確認をしたほうがいいでしょう。

■[参考サイト]史跡・周知の埋蔵文化財包蔵地にかかる届出・申請の手引き(鎌倉市役所)

場所によっては埋蔵文化調査が必要な場合も

鎌倉の格安物件・崖地物件の購入時のリスクとチェックポイント

東京から鎌倉で物件を探している人でよく聞かれるのが物件に崖地が多いということです。東京の場合は平地や丘陵地帯が多いので鎌倉のように崖地に立つ建物や背面が崖地の土地は少ないのもあるでしょう。

鎌倉の海側も山側も崖地が多く、谷戸と呼ばれる谷状の地形が多いのも特徴です。材木座地域でも二階堂地域でもまた大船よりの植木地域でも崖地が多いです。

どうしても旧鎌倉地域の場合、平地の物件は価格が高いので、鎌倉の格安物件となると崖地等の物件に注目しがちですが、崖地ならではのでデメリットを把握しておく必要があります。

崖崩れ・土砂災害等のリスクが高い

崖崩れ・土砂災害等のリスクが高いです。これは鎌倉に限らず逗子や三浦半島地域全般に言えることです。特に最近、隣町の逗子では頻繁にがけ崩れや土砂崩れの被害に見舞われています。

以前に比べて豪雨・台風・地震の回数も増えているので影響している可能性もあるかもしれません。

[参考サイト]神奈川県逗子市のがけ崩れをふまえた急傾斜地(がけ地)の点検を行う際のポイント(国土交通省)

[参考サイト]鎌倉市土砂災害ハザードマップ(鎌倉市役所)

鎌倉の場合は谷戸地域が多いので元々日当たりのよい土地は少ないのですが、それに追い打ちをかけて最近、問題なのは山等の山林が放置されているところが多いので、草木が生い茂り日当たりが悪くなっていたり、台風等での倒木被害が大きいのが問題になっています。

特に他の地域と違い鎌倉は風致保存地区の場合、伐採に関して罰則規定あるので気軽に伐採ができないのと、また所有者の高齢化や相続のため山林が放置されている場合が多いです。

令和元年台風15号、19号では倒木の被害停電や自衛隊派遣までのレベルの被害までありました。鎌倉は岩盤の上に樹木が立っている場合が多く、根が深くないので倒木リスクが高いと言われています。

また伐採に関しては鎌倉の助成は特にありません。崖地の伐採の場合、業者に依頼する場合にかなり高額になる場合が多くなかなか所有者が積極的に伐採することはないのが現状です。

土砂災害だけなく停電のリスクも高い

台風等の災害時、土砂災害だけなく、最近では停電の被害も多いです。復旧に時間ががかかり数日間停電の場合も多いです。鎌倉が停電が多い理由はやはり電柱が倒木よって切断されるのが多いからです。

そうした場合、倒木や土砂を撤去してから電柱を立てたりするのでそれだけ復旧に時間がかかってしまうのです。また停電といえば以前はタイワンリスが電線をかじってしまい、停電や電話がつながらない等がありましたが、最近ではタイワンリスが電線をかじらないように対策をしてあります。

[参考サイト]【台風15号】長引く余波 停電、エアコン使えず救急搬送 (神奈川新聞)

ごみ捨てが大変

谷戸の坂の上の方の物件の場合、ゴミ捨てが大変の場合があります。鎌倉の場合、各住居ごとの戸別収集ではなく、各町内会に設置されたゴミステーションでの収集になります。

ゴミステーションが近くにある場合はいいですが、中には坂上や坂下で数百メートル離れている場合があります。ほぼ毎日のゴミ捨ては必要なので必ずゴミステーションの場所を確認したほうがいいでしょう・

鎌倉の場合、ゴミ有料化のときに、各住居毎の戸別収集の案がでましたが結局、実現しませんでした。もともとゴミ収集車が入れない・小さい路地裏が多いのでコストの面等、戸別収集自体が難しいのが理由なのかもしれません。

[参考サイト] 戸別収集「全市実施」困難に (タウンニュース)

自生している植物や降雨後の崖から流れる湧き水をチェック

もし崖地の土地を購入する際にはハザードマップをチェックするだけでなく、自生している樹木や植物をチェックすることをおすすめします。

定期的に伐採されているか、倒木のリスクはないか等のチェックや特にシダ系の植物や紫陽花等が自生している場合は湿度が高く、日が当たらない可能性があります。

また近隣の建物の外壁の緑苔がついている場合も同様です。また降雨後に崖から湧き水が流れて道路面が濡れている場合も注意が必要です。

鎌倉にも分譲地はいくつか存在

鎌倉に分譲地は意外だと思いますが、鎌倉には閑静な分譲地がいくつかあります。

梶原分譲地・七里ヶ浜分譲地・住友分譲地・江ノ電分譲地・新鎌倉山分譲地等、分譲地(旧分譲地含む)がいくつかあり、昭和40年代に造成された分譲地が多く、特徴的なのは駅から遠く、山を切り開いて造成して作られた分譲地なのでどうしても坂の上または坂があるということが特徴です。

またこうした分譲地も高齢化が進み世代交代が急速に進んでいます。鎌倉の地価は下がらないのでゴーストタウン化するリスクは少ないと思いますが、一軒あたりの敷地面積が広く、土地の値段と利便性を考えるとお得ともいえないかもしれません

閑静な分譲地なので周りが高齢者の割合が多い世帯の場合、騒音等で子育て世代には住みづらい可能性もあります。分譲地には建築規約・住民協定があるので必ず確認をしたほうがいいでしょう。

旧鎌倉地域は大規模造成がないので住宅個数が限られており、土地の価格が下落リスクが少ないですが、今後需要と供給のバランスが崩れて、売るに売れないケースが出るリスクがある可能性があります。

■詳しくは下記のページにてまとめてありますので興味のある方はご参照ください。

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鎌倉移住で後悔しないために知っておきたい最近の鎌倉生活事情 鎌倉への移住計画・引っ越しを考えている方に現在の鎌倉事情をまとめました。コロナ禍で鎌倉の移住がとても人気です。旧鎌倉地域(長谷・材木座・小町・大町・由比ヶ浜・扇...

鎌倉の古民家はスローライフに最適?

鎌倉移住で検索する方に人気なのは鎌倉の古民家生活です。鎌倉の古民家について書いてみました。

鎌倉に古民家が多い理由と鎌倉の古民家が人気の理由

鎌倉(旧鎌倉地域)の古民家も人気です。鎌倉に古民家が多い理由は、鎌倉は東京や横浜のように空襲がなかったので比較的古民家が残っている割合が高いでしょう。

また鎌倉は風致地区なので戦後大規模開発等がなかった地域が多いのも古民家が残っている理由の一つかもしれません。

ただ最近は相続の問題で土地を分割して販売したり、世代交代で建て替えをしたりしているので以前比べて鎌倉の古民家は減少はしています。

また鎌倉の古民家が人気の理由はやはり鎌倉の古民家は中井貴一と小泉今日子の「最後から二番目の恋」ドラマの影響が大きいのかもしれません。

[参考サイト] 最後から二番目の恋(FOD)

古家を古民家として販売している場合があるので注意

鎌倉というブランドの付加価値や鎌倉移住ブームという背景を考えても、鎌倉の古民家は建物に対して少し値段が不釣り合い・高騰しすぎのような気がします。

「鎌倉古民家激安」「鎌倉 格安物件」で検索してこのサイトを訪問する方も多いですが、実際、鎌倉では格安の古民家物件はほぼないと言っていいでしょう。

他の地域では土地以外の不動産価値が全くない建物でも、鎌倉では古民家として信じられない位の値段で売りに出ている場合もあります。

車でいうと限定生産のクラッシックカーやビンテージカーというより、頭文字Dの影響で普通の一般大衆車である1986年式のカローラレビン・スプリンタートレノ(AE86)が当時の新車以上の値段で販売されているような感じだと思います。

とはいえそこから車の場合でもレストアしたり、家の場合リノベーションをしたりするので、それを考えると普通に新車を購入したり、他の地域の古民家を購入してリノベーションしたほうが満足度が高いと思います。

中には普通の古家を古民家として販売している場合もあるので注意が必要です。どうしてそういうことになるかというと古民家という明確な定義がないからです。

例えば昭和初期に建てられた有名建築家の建物で国として文化財として認定された建物以外は不動産屋さんが古民家と言ってしまえば古民家になってしまうのです。

[参考サイト] 新車価格の2倍3倍当たり前! 「異常高騰」な中古国産スポーツ4選(WEB CARTOP)

鎌倉の古民家生活は探すにも住むには覚悟と予算が必要

古民家でもやはり鎌倉に住むのは「砂害・湿気・害虫問題」がついてきます。

鎌倉の古民家をリノベーションして、現在建売レベルの快適さ(遮熱断熱等含め)に持っていくのは相当の覚悟と予算が必要になると思います。

古民家の建築された時代と違い、近隣にも住宅が増えているのとエアコン室外機・アスファルト舗装や地球温暖化の影響による気温・湿度の上昇や台風等の気候変動で以前に比べて快適さの違いがでてきるのと建物の負担が大きいです。

また海側の古民家の場合、どうしても隙間が多いので室内に砂が入ってくる砂害が多く、床が黒く汚れる場合が多いです。

山側の方が隙間から害虫(蚊・ムカデ・ゲジゲジ等)が入ってくる場合が多く、防ぎようがないです。また屋根裏にスズメバチの巣やあらいぐまやハクビシンが住み着く場合もあります。

また若いうちは古民家で快適かもしれませんが、老後になって断熱やバリアフリーを考えると必ずしも古民家が快適かというとそうではないかもしれません。また売却を考えた時に鎌倉の古民家ブームがずっと続くという不確定要素もあるでしょう。

少なくとも鎌倉で古民家を改装して住むという考えている方は相当の覚悟や予算感を持ってリノベーションを考えたほうがいいでしょう。

実際に鎌倉で古民家をリノベーションしているのは個人宅より、建築家の自宅や古民家再生のリノベーション専門会社や古民家で宿泊施設経営等、資本力のある会社やビジネスをしている方が多いのではないでしょうか。

ちなみに鎌倉の古民家を改装してレストラン等で営業するとなると、水回りや厨房周りのリニューアル等もしなければならず、もし観光客をターゲットとした場合、鎌倉の観光客層の1回にかける観光マネー・客単価から収益性を考えると厳しいと言えるでしょう。

古民家でもやはり鎌倉に住むのは「砂害・湿気・害虫問題」ついてくる。現在建売レベルの快適さ(遮熱断熱等含め)に持っていくのは相当の覚悟と予算が必要

鎌倉の古民家生活は探すにも根気が必要

鎌倉の古民家を探す場合にはレインズにも掲載されることが少ないです。大手不動産のポータルサイトや東急リバブルや三井不動産リアルティのような大手不動産さんはなかなかこうした物件を扱うことがないです。

以前書いたおしゃれ系不動産屋さんか昔からある鎌倉の地元不動産屋さん(大久保不動産・御成不動産・大槻不動産・梶川不動産・山本不動産等)が古民家物件を取り扱っている場合があります。

地元の不動産でも各エリアの強み弱みがあるので地元の不動産屋さんの強みを把握することが大事です。ただこうした地元の不動産屋さんはネットに掲載している場合が少ないのでまめに顔を出してチェックすることが大事です。

鎌倉の古民家を探す場合は地元の不動産に相談がベスト
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